フィールドワーク

名城大学経済学部では、経済学の理論の修得にとどまらず、理論を用いて現実経済を分析する「フィールドワーク」を重視しています。

名城大学経済学部
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山本は「公共交通の活性化」や「産業観光」をテーマとしたフィールドワークを実施していますが、その一部をご紹介します。

平成27年度「中川運河活用施策調査」

名古屋市の中川運河は、名古屋港から名古屋駅近くの笹島地区に至る延長8.2kmの運河で、かつては松重閘門を経て堀川とも繋がっていました。中川運河は昭和7年に全線開通し、最盛期の昭和39年度には取扱貨物量400万トン、通航船舶隻数8万隻を数え、名古屋の物流の大動脈として機能しました。しかし、昭和40年代以降、貨物輸送は急激に自動車へ転移し、現在の通航船舶は1日数隻に減少しました。このため、名古屋市住宅都市局や名古屋港管理組合等では中川運河の新たな活用方法を検討しています。
本調査では、中川運河の産業遺産としての価値に着目し、まずは中川運河整備の目的と名古屋の経済・社会における中川運河の意義を解き明かすことに注力しました。その上で、内外の運河の活用事例等を参考に、中川運河の産業遺産としての価値を活かした活用施策を考察しました。
またあわせて、中川運河周辺の産業遺産(松重閘門、名古屋港跳上橋、宮の渡し)についても、産業観光資源としての利活用を検討しました。。

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平成26年度「名古屋ガイドウェイバス(株)ゆとりーとライン活性化調査」

名古屋ガイドウェイバス(株)ゆとりーとラインはわが国唯一のガイドウェイバスで、名古屋市北東部の守山区近辺における中量軌道系交通システムとして平成13年に開業しました。

ガイドウェイバスは、バス車両に案内輪を装備し地上に設置された案内板(ガイドウェイ)に沿って専用軌道を走行するほか、専用軌道区間外は運転士のハンドル操作によって既存のバスとしても運行できます。

ゆとりーとラインも、道路が渋滞する大曽根〜小幡緑地間は高架専用軌道を走行し、小幡緑地以遠の郊外部では一般道路を路線バスとして各方面へ運行しており、鉄道とバスの利点を組み合わせた交通システムとなっています。

しかしながら開業時の需要予測が9,600人/日を見込んでいたのに対し、実際は5,300人/日にとどまったほか、多額の減価償却費などの影響を受け、開業当初より経常赤字を計上することとなりました。このため平成14年度より経営改善計画を策定し、平成17年度以降は経常損益の黒字化を達成しましたが、依然として約37億円(平成25年度)の累積赤字を計上しており、いっそうの経営改善が求められています。

以上のことから本調査では、ゆとりーとライン活性化のための輸送人員増加・収益増大施策を検討しました。

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平成25年度「名古屋臨海高速鉄道(株)あおなみ線活性化調査」

名古屋臨海高速鉄道(株)西名古屋港線(あおなみ線)は、名古屋市西南部の軌道系基幹公共交通として、東海旅客鉄道(株)の保有する貨物線であった西名古屋港線を旅客化したもので、平成16年に開業しました。

しかしながら、輸送人員が開業前の需要予測を大幅に下回るとともに、多額の減価償却費などから、毎年度大きな経常赤字を計上することとなりました。このため、平成22年度に事業再生ADRを申請し、減資をはじめとする経営改革を行うに至りました。

一方この間、輸送人員は着実に増加し、平成21年度より償却前黒字を達成しています。

以上のことから、あおなみ線は現在では地域にとって有用・不可欠な交通機関といえますが、他方引き続き経営改善が必要であり、収益の増加と費用削減が求められています。

本調査では、あおなみ線活性化のための、輸送人員増加による収益増加施策、運賃収入以外の収益増加施策、および費用削減施策等を検討しました。

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平成24年度「武豊線沿線産業遺産調査」

近年、工場や鉱山などの生産設備を観光資源として捉える「産業観光」が注目を集めています。とりわけ産業近代化の過程を物語る産業遺産は、古さや希少さなどに由来する物理的な価値に加えて、国や地域の発展においてこれらの遺産が果たしてきた役割、産業近代化に関わった先人たちの努力など、豊かな無形の価値を物語る存在です。それゆえ、産業遺産の持つ背景や当時の社会経済における意義などの予備知識なしに現場を見ても、その面白さは半減します。

さて、JR東海武豊線沿線の半田市および武豊町には、全国ブランドの醸造酢メーカーが立地し、赤レンガ造りのビール工場や運河、明治期の鉄道施設などの産業遺産が集積しています。本調査は、なぜ名古屋や江戸といった大都市ではなく、武豊線沿線にこれらの産業および産業遺産が存在するかを明らかにし、産業遺産の持つ背景や当時の社会経済における意義を示すことを目指しました。

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平成23年度「こまき巡回バス調査」

わが国の乗合バス輸送人員は、自家用車の普及等により、昭和43年度の10,144百万人をピークに減少に転じ、平成22年度は3,842百万人とピーク期の1/3近くにまで落ち込みました。これに伴いバス事業者の営業収入も減少が続き、平成22年度ではわが国の乗合バス事業者246社中、黒字事業者は63社(26%)で、残り183社(74%)は赤字事業者となっています。その結果、不採算路線の廃止が拡大していますが、これにより、高齢者や児童・生徒、障がい者などクルマを利用できない交通弱者の通院、通学、買い物等の日常生活に支障が生じています。

このような交通弱者のモビリティ低下を改善するため、近年、各地でコミュニティバスが運行されています。コミュニティバスのなかには、住民の交通利便向上に適い好評を博している事例も多い反面、輸送人員が当初想定に達せず、多額の運行経費が問題となっているケースもみられます。

本調査では、運行開始より輸送人員の増加が続き成功事例と見做される愛知県小牧市のコミュニティバス「こまき巡回バス」の実態を分析し、住民の利便に適う望ましいコミュニティバスのあり方を検討しました。またこれと同時に、「こまき巡回バス」のいっそうの改善方策を検討しました。

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